20世紀のアイドルビジネスと、現在のアイドルビジネスの違い
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AKB48の大成功によって、アイドルビジネスは大きく変わった。
そのお蔭で、地下アイドルやローカルアイドルも、そこそこ食えるようになった。
20世紀のアイドルは、テレビの歌番組やCMに出て知名度を上げる必要があった。
全国的な知名度を得れば、全国の興行主からイベントに呼ばれるようになり、「営業」で儲けられた。
吉本興業などのお笑いも、企業や地方のイベンターたちから引き合いがあって初めて、収入になって居るし。
そのためアイドルも、全国レベルで名前が知られる必要があったわけだ。
ところがAKB48以降のアイドルは、必ずしもテレビやCMに出て、世間一般に知られる必要はなくなった。
もともとAKB48のビジネスモデルは、ローカルかつクローズドなビジネスだ。
若者が集まる繁華街に劇場を作り、そこで毎日のように公演を行って、日銭を稼ぐ。
チケットやグッズを売って、それでグループの活動を支える。
公演に毎回のように来て、グッズを買ってくれるファンが数百人もいれば、営業し続けられるのだ。
AKB48グループの運営費は、年間十数億円
と言っても、AKB48のように専門劇場を持ち、何十人もメンバーを抱えるようなアイドルグループは、年間十数億円以上の売上げがないと、やっていけない。
名古屋のSKE48が、2019年にAKB48運営会社から、KeyHolder社に30億円で譲渡されたが、その時に明らかになったのは、SKE48の2018年度の売上げはおよそ21億円で経費は18億円、損益は3億円の黒字だったという。
KeyHolder社は上場企業なので、3ヶ月ごとに収支報告が出されるのだが、正式にアイドルグループの運営費がこうして明らかにされたのは、初めてかも知れない。
当時のSKE48所属メンバーはおよそ60人だったから、同じくらいのメンバーを抱える他の姉妹グループの運営費も似たようなもんだろう。
専用劇場を構え、アイドル60人に毎月10万円以上の月給を払い、劇場スタッフや衣装部などの人件費を考えれば、最低でも年間10億円は必要になるわけだな。
これは実はAKB48発足当初から言われてたことで、年間10億円の売上げを達成するために、土日は3回公演を行うというハードスケジュールで公演が行われてきた。
ただ、こういう専用劇場や専用スタッフがなくても、少人数で活動するなら、それほどの売上げは必要無い。
地価アイドルの収入源は、ツーショットチェキ
AKB48グループのように、専用劇場を維持し、数十人ものメンバーと、専属スタッフを維持するには、年間10億円以上の売上げが必要になる。
しかし逆に言うと、少人数で、専用劇場も専用スタッフも雇わなくて済むなら、アイドル活動をするのに必要な売上げは、その10分の1とか、20分の1もあれば良いと言うことになる。
メンバーは土日祝日だけアイドル活動をするとすれば、稼働日数は年間100日ちょっとだから、アゴ足代込みで1万円の日当と経費さえ売り上げられれば、十分だ。
楽曲も今やキーボードでパソコンに打ち込んでMIDI音源を作れば良いし、衣裳もメンバーの中に衣裳作りが好きな人がいたりするので、材料費くらいですむ。
要するに、メンバー一人あたり2~3万の売上げを上げれば成功なワケで、グッズやチェキなどの物販でそれを売り上げれば良い。
ツーショットチェキという、アイドルとツーショットのチェキ(ポラロイド写真)に千円払ってくれるファンが何十人かおれば、それで運営が成り立つのが、地下アイドルビジネスだ。
ただ地下アイドルのライブでは、物販が必須で生命線になるから、ライブの時間よりも物販の時間の方が長かったりする。
数グループが出演する合同アイドルライブでも、出番以外の時間帯はずっと物販にいて、ファンにモノを買ってもらう。
AKB48グループでも、コンサートの前や握手会の合間に、物販列に暇なメンバーが現れたりするのだけれど、地下アイドルの場合はもう、物販が命みたいなところがあるね。
そして芸能プロダクションやレコード会社が絡まない方が、じつは実利が大きかったりする。
こういうわけで、地下アイドルは毎年何十も誕生し、何十も消えていくようになっているのだ。